ヘイトに立ち向かうアイヌ民族・井上千晴さん 息子誕生で変化「うそをついているような感覚」にさいなまれ

2026-08-06 HaiPress

東京都内で8月18日から始まるアイヌ文化普及啓発セミナーに、一般社団法人「アイヌ力(ぢから)」(北海道白老町)の一員で、アイヌ民族の井上千晴さん(45)が登壇する。今年3月にアイヌヘイトとみられるパネル展が開かれた際も、反対の意思を示すネット署名を展開するなど精力的に活動してきた。原点は「アイヌへの共感の輪を広げたい」との思いだ。(木原育子)

アイヌ民族としての思いを語る井上千晴さん。背景は、宇梶さんが作成したアイヌ民族の家紋を集めた刺しゅう=北海道白老町で

◆「こぶしを掲げるタイプじゃなかった」

「私自身は反対のこぶしを掲げるタイプじゃなかった。でも誰かが声を上げないと、アイヌの思いは圧倒的マジョリティー(多数派)に消されてしまう」。6月下旬、白老町で井上さんが思いの丈を語った。

アイヌ民族が多く暮らす北海道浦河町で生まれ育った。母親がアイヌ民族で、特段の差別やいじめを受けた記憶はないが、積極的に自らの出自を明かさない暗黙の雰囲気があった。高校は母親の勧めで札幌へ。のちに母親から「札幌なら偏見にさらされることなく生きられる。違う世界を見てほしかった」と明かされた。

進学、就職、結婚を経て、思いがはじけたのは、息子(9)が生まれたこと。「アイヌとして生きていないことが、息子にうそをついているような感覚にさいなまれた」

ただ、どう動いたらいいかわからない。契機は、...

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