<夏の甲子園>冷静さ保ち、優勝候補抑える 関東一・畠中鉄心投手(3年)

2024-08-20 HaiPress

先発し、快投を見せた関東一の畠中鉄心投手=甲子園球場で

少し古風な響きもある鉄心という名前には、「気持ちの強い人間になってほしい」という両親の願いが込められているという。その名の通り、畠中投手は大舞台に動じない冷静な投球で、優勝候補を封じ込めた。

直球は出ても130キロ台中盤。速球で押す相手エースとは対称的に、チェンジアップやスライダーを低めに集める丁寧な投球で凡打を打たせた。「前の2試合は高めに浮いた球を運ばれた。今日はしっかり修正できたと思う」。粘られても力まず、わずか98球で効率的に試合をつくった。

八回まで二塁すら踏ませない盤石の投球。3度の併殺に「助けられた」と謙遜するが、制球力が内野陣の動きをさらに良くした側面もあるだろう。捕手の構え通り投げれば、野手は打球方向を予測しやすい。実際に小島選手と市川選手の二遊間は、「畠中が制球を間違えないから守りやすかった」と口をそろえた。

日ごろから落ち着いた物腰で、チームメートに頼られることも。同学年の坂井遼投手にマウンドで冷静さを保つ方法を問われ、周囲を見渡すよう勧めた。投球に没入すると視野が狭まる。球場のざわめきや応援がはっきり聞こえるくらいの方が、力みが抜けて良い投球ができると考えている。

その心がけを体現するマウンドさばきで、ここまで11イニングを投げてきた坂井投手を温存できた。「今日は坂井を助けたかった」と語った左腕の貢献で、チームは最高の状態で準決勝に進んだ。(佐藤航)


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